トラックリースバックとは?仕組み・メリット・デメリットを徹底解説
トラックリースバックは、通常の売却やローンとは異なり、所有権を移しながらも使用権を残すという特性を持つため、経営上の柔軟性が高い方法として物流業界や運送業者の間で広がっています。本記事の中では、その流れや具体的な仕組みについて詳しく解説していますので、参考にしてください。
トラックリースバックの仕組み
資金調達の新しい手法として注目されている「トラックリースバック」は、所有するトラックを売却した上で、同じ車両をリース契約によって継続利用できる仕組みです。これにより、まとまった資金を確保しつつ事業を止めることなく車両を使い続けることが可能になります。
トラック売却とリース契約を同時に実行
トラックリースバックの基本は「売却」と「リース」をワンセットで行う点にあります。企業や個人事業主はまず、自身が所有するトラックを専門業者に売却します。
通常の売却であればトラックを手放してしまいますが、リースバックの場合は同時にリース契約を結ぶため、売却したトラックをそのまま使用し続けられるのです。つまり、資産を現金化しつつ事業に必要な車両は確保できる、一石二鳥の仕組みといえます。
一連の流れ:査定・面談・契約・リース開始
リースバックのプロセスは、まずトラックの査定からはじまります。専門業者が市場価格や車両状態をもとに評価し、買取価格が提示されます。条件に納得できれば、売却契約と同時にリース契約を締結できるのです。
その後、まとまった売却代金が入金され、同じ車両をリース料を支払いつつ使用し続けることが可能になります。書類手続きは業者がサポートしてくれることが多く、比較的スムーズに進められるのも特徴です。
契約満了後の選択肢(買い戻し・再リース・返却)
リース期間が満了したあとには、いくつかの選択肢があります。まず「買い戻し」を選べば、一定の条件で再び自社の資産として所有できます。
あるいは「再リース」によって契約を延長し、引き続き使用し続けることも可能です。最後に「返却」を選べば、新しい車両への入れ替えやリース終了によるコスト削減を図ることができます。
このように契約満了後の柔軟な選択肢が用意されている点も、トラックリースバックが注目される理由のひとつです。
トラックリースバックのメリット
トラックリースバックは、単なる売却やリースとは異なる独自の仕組みを活かすことで、事業経営にさまざまなメリットをもたらします。とくに資金繰りの改善や経営効率化に寄与する点が評価されており、物流・運送業界で注目されています。
ここでは、トラックリースバックの具体的なメリットをみっつの観点から解説していきます。
まとまった資金をスムーズに調達できる
トラックリースバック最大のメリットは、所有するトラックを売却することで一度にまとまった資金を確保できる点です。銀行からの融資やローンとは異なり、審査が比較的短期間で済む場合が多く、急な資金需要にも柔軟に対応できます。
とくに複数台の車両を保有する事業者にとっては、トラックの資産価値を活かしてキャッシュフローを改善する手段として非常に有効です。
現車を売却せず使用継続できる
通常の売却であればトラックは手元からなくなりますが、リースバック契約では売却したトラックをそのまま使用し続けることが可能です。事業運営を止めることなく資金を調達できるため、配送スケジュールや業務効率を損なわずに済みます。
また、従来通り自社の車両を使い続けられることで、運転手や管理者の負担も最小限に抑えられる点が大きな利点です。
会計・財務面でのオフバランス化とコスト平準化
トラックをリースバックすると、所有権は売却先に移るため、会計上は資産として計上されません。これによりオフバランス化が可能となり、自己資本比率の改善や財務指標の安定につながります。
また、リース料を毎月の固定費として計上できるため、費用を平準化しやすく、経営計画の立てやすさという点でもメリットがあります。資金繰りだけでなく、会計・財務面での戦略的活用ができる点が注目されています。
トラックリースバックのデメリット
便利なトラックリースバックですが、メリットだけでなくデメリットも存在します。事前に注意点を理解しておかないと、経営計画やコスト管理に影響を及ぼす可能性があります。
ここからは、契約に伴うリスクや留意点について具体的に解説しますので、メリットとデメリットを比較しましょう。
毎月のリース料支払いが発生
リースバックでは、売却後もトラックを使用するために毎月リース料を支払う必要があります。売却による資金調達で得た現金は一時的な資金繰り改善に役立ちますが、長期的にはリース料という固定費が発生することを考慮しなければなりません。
資金繰りの改善が目的であっても、リース料負担が大きくなると経営への圧迫要因となる可能性があります。
カスタマイズ不可や使用制限への配慮が必要
リース契約では、車両に対する改造やカスタマイズが制限される場合があります。荷台の改造や特殊装備の取り付けなど、自社の運用に合わせた調整が難しいケースがあるため、事前に使用条件や契約内容を確認しておくことが重要です。
また、使用方法や走行距離に制限が設けられる場合もあり、これを超過すると追加費用が発生することもあります。
契約中の解約不可とそのリスク
多くのリースバック契約では、契約期間中の途中解約が認められていません。そのため、経営状況の変化や車両の利用状況に応じて契約を見直したくても、柔軟に対応できない場合があります。
解約時に違約金が発生することもあり、事業計画を立てる際には契約期間や条件を十分に確認することが不可欠です。
導入時の注意点と活用のコツ
トラックリースバックは資金調達や経営効率化に有効な手段ですが、導入にあたってはいくつかの注意点があります。事前にリスクや条件を把握し、適切な活用法を知ることで、より効果的に事業運営に取り入れることができます。ここでは、トラックリースバックを正しく導入するためのポイントを解説していきます。
古すぎる車両はリースバックが適さない可能性
リースバックの対象となる車両は、一般的に市場価値のある比較的新しいトラックが望ましいとされています。古すぎる車両や整備状態の悪いトラックでは、買取価格が低くなったり、リース契約自体が成立しない場合があります。導入前には、査定や使用状況の確認を行い、適した車両かどうかを判断することが重要です。
全台リースバックのリスクとリスク分散
すべてのトラックをリースバックで売却する場合、固定費の増加や契約期間中の柔軟性低下などのリスクが生じます。万一の経営変化に備え、複数台を一部リースバック、一部は自社保有という形でリスク分散する方法も検討できます。運用計画に応じた適切な台数選定が、導入成功のポイントとなります。
契約満了後の再リースや買戻し条件の確認
リース契約終了後の選択肢として、再リースや買戻し、返却があります。契約時に各条件を明確に確認しておくことで、満了後の対応がスムーズになります。
とくに買戻しを検討する場合は、買取価格や期間延長の条件を事前に把握しておくことが、経営上の計画において重要です。
まとめ
トラックリースバックは、所有するトラックを売却しながらも同じ車両をリースで使用し続けられる仕組みで、資金調達と事業継続を両立できる新しい手法として注目されています。まとまった資金を短期間で確保できるだけでなく、既存のトラックを使い続けられるため、物流業務の停止や人員負担を最小限に抑えられる点が大きな魅力です。また、会計面でのオフバランス化やリース料によるコスト平準化も経営に有利に働きます。一方で、リース料の発生や使用制限、契約期間中の柔軟性の制約など、注意すべきデメリットも存在します。導入にあたっては、車両の状態や契約条件を事前に確認し、必要に応じて部分的なリースバックや契約満了後の選択肢を検討することが重要です。
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